20年にわたる私の経験を通じて目撃してきた高校生の不登校の実情とその特徴をお伝えします。
私の勤務する学校では1学年で毎年400人を超える生徒が在籍し、現在はその学年主任を務めています。
ここでの長いキャリアを通じて、数多くの不登校生徒と関わり、その支援に努めてきました。
この記事では、高校生ならではの様々な不登校のケースと、それぞれの特徴を明らかにしていきます。
中には思いもよらない意外なケースも含まれますが、あなたのお子様の状況にもあてはまる部分があるかもしれません。
お子様の状況と照らし合わせてみてください。
不登校の様々なケース
入学前から不登校
支援が最も難しいケースの一つとして、中学校時代から不登校であった生徒が挙げられます。
特に中学時代に完全に学校に通えなかった場合、高校でクラスに馴染むことが難しいケースが多く見受けられます。こ
ういったケースでは、担任とのコミュニケーションが十分に取られる前に不登校となることが多く、学校として適切な支援を提供することが難しいです。
教員との相性が悪い
教員との相性が悪いケースは、近年増加している傾向があります。
特に小学校や中学校では、アクティブラーニングが導入され、高校でも変化の波が押し寄せてきています。
しかし、高校の教科書の内容は非常に充実しており、限られた時間内で教師が伝える従来の授業スタイルも健在です。
中にはこれまでの指導法を守り続ける年配の教師も少なくありません。
そのような場合では,授業中の私語は一切禁止。
全員が一律の内容に粛々と取り組むといったイメージです。
そういった先生に適応できていない生徒は拒否反応を示すようになり,その授業がある日だけ体調不良になり,欠席するようになります。
結果リズムが狂ってしまい,不登校になるリスクが非常に高い状況におちいってしまいます。
友人関係のトラブル
親友に新たな友達ができてその輪に入っていけない,信頼していた友達から裏切られるなど友人関係のトラブルによる不登校も多いです。
このケースでは,スクールカウンセラーや保護者,先生の支援によって不登校から復帰できる可能性が高いです。
長い人生においては,親しい人から裏切られるという経験は少なからず皆さんもあるはずです。
一つの人生経験として乗り越えていかなければならない壁として丁寧に説明し,支援してあげることでうまくいくケースです。
また,学校としては席替えや進級時のクラス替えでの配慮などできることも多くあるため,担任の先生に相談することをおすすめします。
クラスの雰囲気になじめない
クラスの雰囲気がにぎやかで,ガチャガチャしている場合があります。
いわゆる学級崩壊の状況です。
このケースは,担任の先生の統率力に問題があることが多く,その年度中に解決できない場合が多いです。
状況は学年主任はもちろん,教頭,校長もしっかり把握しているはずですが,学校の運営自体ギリギリの人員でやっていることが多く,交代させたくても代わりがいないというのが現状です。
担任の先生に相談できない場合は,まず学年主任やスクールカウンセラーに相談していくべきだと思います。
状況があまりにもひどい場合は教頭に相談する必要性も出てくるでしょう。
勉強面での悩み
高校生にとっては、大学受験という重要なイベントが控えており、学習に関する悩みを抱える生徒が多くいます。
志望校のボーダーラインに全く届かない自身の成績を目の当たりにして絶望を感じ,ドロップアウトしてしまう生徒。
高2までは成績優秀で高3に進級し他生徒では,周囲からの期待が高すぎてそれに答えようと自分を追い込み,潰れてしまう生徒など様々なケースがあります。
「あんなにいい生徒が…」,「あんなに頑張っていたのに…」,「そんなこと気にしなくていいのに…」など,教師としていたたまれない思いを感じることがあります。
私自身は,頑張り屋さんほど遊びの大切さ,息抜きの大切さをお話しするようにしています。
やはり真面目で努力家の生徒ほど勉強でメンタルに不調をきたし,不登校になってしまうことが多いようです。
怪我や病気をきっかけに不登校になる
怪我や病気が引き金となり、生徒が不登校になることがあります。
長期の欠席や通院によって、生活のリズムが変わることで、これまで当たり前にできていたことが一時的に難しくなることがあります。
怪我や病気は、生徒のメンタル面にも大きな影響を及ぼすことがあるため、1週間程度の欠席であっても、通院や療養が続く場合には注意が必要です。
家庭でのトラブル
非常に様々なケースがあります。
兄弟姉妹と無意識に比べられているまたは,比べられている被害妄想をする。
兄弟姉妹が叱られているのを見たり聞いたりしたことで自分も叱られていると錯覚する。
保護者による過干渉によって行動力が失われてしまう。
夫婦喧嘩や両親の離婚などによって家庭環境が悪化する。など様々なケースがあります。
いずれにせよ,生徒が前向きに自分のことを考えて学校生活を送ることができない状況が家庭で生じてしまうケースです。